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ヘンテナの話(2)
(3)バリエーション

   (1)2/3λヘンテナ(ハンモックヘンテナ)
 2-15図の小さな方のループは、少し位、その大きさが大きくても小さくても大勢に影響はないとすでに述べましたが、3-1-1図に示すように、その長 さを約1/3λまで延ばすことができます。
 大きい方のループの長さが約1/3λですから、全長で2/3λということになります。
 2/3λヘンテナの特徴は、
 (1)標準ヘンテナより若干ゲインが高いこと。
 (2)帯域幅が広いこと。
等でしょう。
 帯域幅が広いと言う事は非常に便利なことで、計算上の寸法どうりに作りさえすればほとんど調整する必要が無いのです。
 このアンテナも標準ヘンテナと同じで、横長にして垂直偏波、縦長で水平偏波の電波を発射します。
 また3-1-2図の様に上向きに設置すると衛星通信用のアンテナとすることができます。 この場合の電波はあくまでも空の上の方に飛んで行きますから、 一般の通信用には使うことはできません。 このアンテナを「ハンモックヘンテナ」と呼びます。

   (2)フォークヘンテナ
 まず3-2-1図に示すように標準ヘンテナを作り、それを半分に切断します。
 給電点のある方の半分はそれでもアンテナとして機能しています。(幾らヘンテナでも給電点の無いほうは只の針金です)
 フォークヘンテナを実際に作る場合の作り方は次の通りです。
 まず、3-2-2図のような、幅1/6λ、長さ1/4 λ「コの字」状のエレメントを作ります。
 この場合、上側のオープンになったところの支持は必ず絶縁物で行ってください。
 SWRの調整法は標準ヘンテナと同じ様に給電点をスライドさせて行います。
 さて、このフォークヘンテナの偏波面はどうなっていると思いますか? 3-2-3図のフォークヘンテナでは、立ち上がった二本のエレメントを結ぶ延長線 上に垂直偏波が発生し、それと直角方向に水平偏波が発生するのです。
 それではこのフォークヘンテナを3-2-4図のように横方向に設置したらどうなると思いますか?
 この場合は水平偏波です。垂直偏波の成分は発生しません。
 3-2-5図の様に設置すると、垂直偏波のアンテナとなります。水平偏波の成分は上下方向に発射されますが上下方向には相手となる局がありませんから一 般的な通信には使用できません。
 この様にフォークヘンテナの偏波面は非常に複雑ですが、3-6図の電気力線の絵を見て、「電気力線の方向が偏波の方向」であることを考えていけば段々に 分かってくると思います。

   (3)ハットヘンテナ
 標準ヘンテナのエレメントの上の辺と下の辺は、考えてみると同じ移相の電流が流れています。 と、言う事はヘンテナを丸めてこの上の辺と下の辺を一つに してしまっても良いはずです。
 3-3-1図にハットヘンテナを示します。
 ハットヘンテナは標準ヘンテナを横にして丸めたものですから当然、垂直偏波を発射します。
 SWRの調整もエレメントの上をスライドして行います。
 指向性はほぼ無指向性と考えてください。
 このアンテナは「リンカーンハットアンテナ」(アメリカのリンカーン大統領のかぶっていた帽子のような形のアンテナという意味で名を付けられたスロット アンテナの一種)の形に似ているため「ハットヘンテナ」と名付けられました。
 このアンテナは丸い形だけでなく、三角、四角の形に折り曲げても同じように作ることができます。

   (4)スリムヘンテナ
 標準ヘンテナの幅を狭くしたものをスリムヘンテナと呼んでいます。
 1/10λ位までならそのままでもなんとか給電することができます。 この場合、長さは1/2λより若干長めにしておいたほうが調整しやすいようです。
 ヘンテナはその幅が狭くなると給電インピーダンスが低くなります。したがって給電点にインピーダンストランスを付けてやることによってよりスムーズに給 電することができます。
 21MHzの場合、幅1.5m、長さ9m位のループを作ることによって水平偏波のアンテナとすることができますからHFのアンテナとして利用価値がある と思います。

   (5)逆立ちヘンテナ
 ヘンテナはその形をいろいろと変える事ができるアンテナです。 3-5-1 図はヘンテナの給電位置を思い切り変えてみました。 さすがにヘンテナですねー、これでもちゃんと働いてくれるのです。
 SWRの調整は上部にあるショートバーのような所をエレメント上でスライドすることによって行えるというところまで、ヘンテナそのものです。

    (6)回転ヘンテナ
 「水平偏波で無指向性のヘンテナが欲しい」という場合は、6-1図に示すように位相を90°ずらす、いわゆるターン型の給電を行なう事によって可能で す。
 SWRの調整はあらかじめ個々のヘンテナで行っておき、1/4λの同軸ケーブルでそれぞれをつなぎます。
 50Ωの同軸ケーブルの中では、電波の伝わる速度が空気中に比べて約2/3になりますから、上記の 1/4λに相当する同軸ケーブルの長さは、計算式か ら算出した 1/4λに0.67を掛けることになります。 例えば50MHzの場合、

1/4λ= (300/50/4)*0.67=1(m)
となります。

  (7)ヘンテナのスタック
 アンテナのゲインを大きくしたいときだれでも考えることは、 
 (1)エレメントを増やす。
 (2)スタック(パラレル)化する。
だと思います。
 今、二つのヘンテナを3-7-1図のようにスタックしてから垂直偏波とするため、左右に開いたとしましょう。
 すごく性能が上がると考えての作業だったと思いますが、残念ながら性能は上がるどころか下がってしまったのです。
 この理由が分かりますか?
 分配器の二つの出力の位相は合っています。 ですからこの分配器の出力を二つのヘンテナに同じように給電すると、その電気力線は図の矢印のようになりま す。
 そうですね、二つのヘンテナの位相が逆位相となってしまい、発射された電波はお互いに打ち消すような関係になってしまったのです。
 こういう事が起きないようにするには3-7-2図のように給電してやる必要があります。

    (8)1λヘンテナ
 ヘンテナのスタック化をもっとスマートにやって退ける方法はないでしょうか。
 3-8-1図は逆立ちヘンテナが二つ並んだものです。
 この二つの逆立ちヘンテナを一つにまとめてしまうと3-8-2図のようになります。
 これなら二つのヘンテナの位相もバッチリあっています。
 二つのヘンテナの両端にあるショートバーのような所をスライドさせてSWRを調整します。
 片方のショーバーでバンドの低い方に合わせ、もう片方のショートバーでバンドの高い方に合わせると帯域幅のかなり広いアンテナを作ることができます。

    (9)スライスッドヘンテナ
 3-9-1図に示す標準ヘンテナの点線で示す真ん中の位置はインピーダンスがゼロΩとなるはずの所です。インピーダンスがゼロΩと言う事は「この場所を アースに落としても良い」と言う事です。 
 これを「スライスッドヘンテナ」と呼びます。
 上記の考え方をまともに採用するとヘンテナの幅は1/12λとなりそうですが、その場合、給電インピーダンスも半分になってしまって具合が悪いので、給 電インピーダンスを50Ωのままとするために実際には1/6λのままで良いのです。
 スライスッドヘンテナは片側がアースされていますから不平衡型のアンテナです。したがって給電するときにもバランの必要はありません。
 このアンテナは建物の壁とか、アンテナタワーに這わせた形で作るのに向いています。
 また、本当のアースつまり地面に落として作ればHFのヘンテナの可能性ががぜん高くなってきます。7MHzのスライスッドヘンテナの実際を3-9-2図 に示します。

  
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